Lens Impressions
Askania 社は1871年に独ベルリンのLinien通り 185で設立された会社。
第一次世界大戦中、同社は帝国海軍のサプライヤーとして潜水艦のコンパス、距離計、照準装置、さらには映画用のフィルムカメラを提供、その後多くの映画用カメラを製造し、1936年のベルリンオリンピックでは競技記録に使用されるとともに、第二次大戦中は戦意高揚のためのニュース映像の記録にも使用されました。
ベルリンという地理的要素、軍との関係などから、アスカニア社とアストロ・ベルリン社の関係については以前から様々な憶測があり、いまだはっきりしたことは判明しておりません。
このKino Anastigmatレンズについても、アストロ・ベルリン社による製造ではないかとの疑問、Pan Tacharレンズと同じではないかとの疑問は常に付きまとっています。
ただ、今回のレンズと手持ちのAstro Berlin Pan Tachar 50mm f1.8との比較ではイメージサークルの大きさも異なり、同じレンズではありませんでした。
第二次大戦のドイツ敗戦と、その後の映画用カメラの競争激化により、一世を風靡したAskaniaの名前は、いつの間にか人々の記憶からは薄れていきます。
もしかすると空襲により工場の大半を失ったアストロ・ベルリン社のように大きな被害を受けたのかもしれません。
1970年代半ば、業績不振からSiemens社に吸収され、現在は旧Carl Zeiss Jena製の顕微鏡のメンテナンスなどを主な業務とするラーテノーのMikroskop
Technik Rathenow GmbHにその商標が引き継がれています。
さらに2006年、Leonhard R. MullerはAskaniaブランドをCarl Bambergの父親からの血脈である時計分野で復活させ、現在も精密な腕時計などを作り続けています。
いずれにせよ、この50mmレンズは映画用カメラから取り外されたものと思われますが、非常に珍しい貴重なレンズであることに疑いはありません。
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