Askania Kino Anastigmat 50mm f1.8
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo


発売開始  不明(1940-50年頃?)
1940年頃のAskania Z 35mm Movie Cameraに装着されていた可能性がある。
マウント:ライカM(距離計連動)に改造

Start of sales  around 1940-50?
This lens was attached to Askania Z 35mm Movie Camera at 1940
Mount : modified into Leica M (coupled).
.
不明

Lens Impressions

Askania 社は1871年に独ベルリンのLinien通り 185で設立された会社。

第一次世界大戦中、同社は帝国海軍のサプライヤーとして潜水艦のコンパス、距離計、照準装置、さらには映画用のフィルムカメラを提供、その後多くの映画用カメラを製造し、1936年のベルリンオリンピックでは競技記録に使用されるとともに、第二次大戦中は戦意高揚のためのニュース映像の記録にも使用されました。

ベルリンという地理的要素、軍との関係などから、アスカニア社とアストロ・ベルリン社の関係については以前から様々な憶測があり、いまだはっきりしたことは判明しておりません。
このKino Anastigmatレンズについても、アストロ・ベルリン社による製造ではないかとの疑問、Pan Tacharレンズと同じではないかとの疑問は常に付きまとっています。
ただ、今回のレンズと手持ちのAstro Berlin Pan Tachar 50mm f1.8との比較ではイメージサークルの大きさも異なり、同じレンズではありませんでした。

第二次大戦のドイツ敗戦と、その後の映画用カメラの競争激化により、一世を風靡したAskaniaの名前は、いつの間にか人々の記憶からは薄れていきます。
もしかすると空襲により工場の大半を失ったアストロ・ベルリン社のように大きな被害を受けたのかもしれません。
1970年代半ば、業績不振からSiemens社に吸収され、現在は旧Carl Zeiss Jena製の顕微鏡のメンテナンスなどを主な業務とするラーテノーのMikroskop Technik Rathenow GmbHにその商標が引き継がれています。 
さらに2006年、Leonhard R. MullerはAskaniaブランドをCarl Bambergの父親からの血脈である時計分野で復活させ、現在も精密な腕時計などを作り続けています。


いずれにせよ、この50mmレンズは映画用カメラから取り外されたものと思われますが、非常に珍しい貴重なレンズであることに疑いはありません。


 Photos with Askania Kino Anastigmat 50mm
 
2020
Iriya, Yanaka
(入谷から谷中へ)
梅雨入り間近の晴れた日に下町を散策しました。湿度の高い日でしたが、このレンズで撮影した画像はなんとなくすっきりとしています。ドイツの初夏は本当に爽やかですが、その雰囲気を運んできてくれているようでした。
シネレンズで35mmイメージサークルはいっぱいいっぱいですので、周辺にはかなり収差が強く出ます。もともとここまで使う前提で作られてはいないので当然ですが、それさえも楽しみに変えてくれる素晴らしいレンズでした。
 
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